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帳簿が読めるオーナーは強い──不動産賃貸と確定申告のキホン

1. はじめに:「税金が不安」になる前に、帳簿の意味を知ろう

不動産投資を始めると、避けて通れないのが「税金」と「申告」の話。
でも実際には、税金の話は「難しそう」「面倒そう」と思われてしまいがちです。

一方で、実際に成功している不動産オーナーたちは口を揃えて言います。
「帳簿がわかると、投資の見え方が変わる」と。

帳簿は、ただの義務ではなく、“お金の流れを可視化するツール”
そして確定申告は、“税金をコントロールするための戦術”でもあります。

今回は、不動産賃貸経営における「帳簿」と「申告」の基本について、
やさしく、そして実務的に整理してみましょう。


2. なぜ帳簿をつけるのか?──「税金対策」より前にある意味

「税金のために記録する」と思われがちな帳簿ですが、
本来の意義はそうではありません。

  • 空室が続いた月の収支バランス

  • 修繕費がかさんだ年の利益の落ち方

  • 管理費や広告費の変動と手残りの関係

こうした「見えづらい変化」を把握できるのが帳簿の力です。

また、金融機関に融資を申し込む際、
「帳簿や申告書を見せてください」と言われることも増えてきました。

つまり帳簿は、不動産オーナーとしての“経営力の成績表”です。

銀行は、そこに書かれた数字を見て、「この人は経営感覚があるか」「安心してお金を預けられるか」を静かに判断しています。
数字で語れる経営者には、信頼という“次の一手”が集まります。


3. 不動産オーナーの帳簿:これだけは押さえたい基本項目

不動産投資における帳簿で重要なのは、
「何を記録するか」と「どう分類するか」です。

【主な収入】

  • 家賃収入

  • 礼金

  • 更新料

  • 駐車場収入・自販機収入など副次的な収入

【主な支出】

  • 管理委託料

  • 修繕費(軽微なもの)

  • 広告費(AD)

  • 火災・地震保険

  • 固定資産税・都市計画税

  • 借入金利息(※元本は経費になりません)

  • 減価償却費(※お金は出ていかないが、経費になる)

帳簿のつけ方は、
Excelクラウド会計(freee、マネーフォワードなど)を使えば、専門知識がなくても十分対応可能です。


4. 青色申告は“使わないと損”な制度

個人で不動産収入を申告する際、白色申告と青色申告の2つの選択肢があります。
ここで、青色申告特別控除の恩恵は、使わない手はありません。

青色申告には以下のようなメリットがあります:

  • 最大65万円の特別控除が受けられる

  • 赤字が出た場合、翌年以降に繰り越して相殺できる(3年間)

  • 家族に支払う給与(専従者給与)を経費にできる

なかでも注目したいのが、「専従者給与」の活用です。
これは、家族内での所得分散によって節税につなげる選択肢を生み出します。

青色申告と専従者給与は、不動産オーナーが“家族を巻き込みながら資産を育てる戦略において極めて重要なツールです。
今回は概要にとどめますが、後日あらためて、この2大制度の活用法をテーマにした別回を設けて詳しく掘り下げていきます。

なお、青色申告を利用するには一定の事業的規模である必要があることに加え、「青色申告承認申請書」の提出も必要です。
一定条件を満たしたうえで、早めの手続きが肝心です。


5. よくある“もったいない”ミスと、計上の注意点

帳簿と申告に慣れていない方が、見落としがちなポイントがいくつかあります。

✅ 修繕費と資本的支出の線引き

エアコン交換や屋根の塗装など、一定額以上の支出は「資本的支出」として減価償却扱いになります。
目安は10万円超/20万円超とされることが多く、費目の分け方次第で節税効果が変わることもあります。

✅ 家事按分の活用

自宅と兼用している通信費や車両費、電気代などは、
業務利用部分を合理的に按分して経費計上できる可能性があります。

✅ 税理士任せにしすぎない

専門家に任せることは良い判断ですが、
「判断材料を提供できるかどうか」は、オーナー側の理解と記録の精度にかかっているとも言えます。


6. 書類管理と記録の工夫は、あとで効いてくる

帳簿や申告において、「証拠資料」は命です。

  • レシート・請求書・領収書

  • 契約書・支払明細・修繕履歴

  • 各種帳票類(振込履歴、月次報告書など)

紙でも電子でも構いませんが、整理して残しておくことが、あとで自分を助けてくれます。

税務調査が入ったときや、数年後に出口を考えたとき、
資料があるかどうかで、安心感も信頼感もまるで違います。

 


7. まとめ:帳簿と申告は、“面倒”を“成果”に変えるパートナーになる

帳簿や確定申告という言葉に、「なんとなく面倒そう」「自分にはハードルが高い」といった印象を持つ方は少なくありません。
実際、最初は戸惑うこともあります。ですが──。

それは、不動産経営をしていくうえで、成果をきちんと自分のものにしていくための“入り口”でもあります。

数字が整えば、物件の強みと弱みが見えてくる。
記録が整えば、税金対策の選択肢が広がる。
そして、それらを積み重ねることで、“資産を守り、育てていく実感”が得られるようになります。

帳簿と申告は、やらされるものではなく、あなたの味方になってくれるものです。
数字が“見える”ことで、投資の景色が変わってきます。
ぜひこの感覚を、実感してみてください。

そして次回は、その“数字”の裏に潜むもう一つの重要テーマ、
デッドクロス──利益が出ているのにキャッシュが減っていく、という不動産投資の落とし穴について掘り下げていきます。

帳簿がつけられるようになった今こそ、
“お金が残らない投資”に陥らないための視点を、身につけておきましょう。

 

 

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