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出口戦略と相続を見据えた資産設計──資産の着地地点を考える

1. はじめに:「この物件、いつまで持つつもりですか?」

物件を購入して数年。家賃収入も安定してきた。
でもふと、こんな疑問が頭をよぎることはないでしょうか。

「この物件、いつまで持ち続けるのがベストなんだろう?」

不動産投資において、“買うこと”はスタートラインにすぎません。
本当に問われるのは、「どうやって終わらせるか」──つまり、出口戦略です。

そしてその出口は、「売却」だけではありません。
保有し続ける」「相続・承継する」など、いくつもの選択肢があります。

今回は、不動産投資の“着地地点”を見据えた視点で、
出口と資産設計の考え方を整理してみたいと思います。


2. 出口戦略の基本パターンはこの3つ

✅ 売却して利益を確定させる

保有し続けてインカムを得る

  • 完済後の物件は、固定費が減りキャッシュが残りやすい

  • 将来の生活資金や退職後の収入源として、“年金的に持ち続ける”

  • 法人化や管理委託によって“手間を減らしながら”保有可能に

✅ 相続・事業承継を前提にする

  • 子どもや家族が運用を引き継ぐことを想定した設計

  • 法人で保有しておけば、株式の承継でスムーズな移転が可能

  • 将来の評価引下げ対策や納税資金確保まで踏まえた“資産継承設計”が必要


3. 出口の選択が“今の持ち方”を変える

出口をどこに据えるかで、今の運用方針にも違いが出ます。

例えば──

  • 10年後に売却予定なら、大規模修繕の計画を見直すべきかもしれません

  • 相続予定なら、いまのうちに法人に移転するか、個人のまま所有するかの選択が問われます

  • 将来の売却益が大きそうなら、譲渡所得税対策としての費用の把握や節税策も考慮に。(例:事業用買替特例の活用、譲渡損資産との損益通算など)

つまり、「いまこの物件をどう運用するか?」は、「どこに向かうか(出口)によって決まる!」というわけです。


4. 相続・承継の視点で考える“持ち方の工夫”

相続を視野に入れると、「不動産の持ち方」によって、将来の選択肢が大きく変わってきます。

✅ 個人所有のまま相続する場合

  • 納税資金をどう準備するかが課題 -【納税対策】
  • 相続人が複数いる場合、不動産という資産の“分けにくさ”が課題 -【分割対策】

  • 不動産の相続時評価額は路線価ベース。評価を抑えやすい -【評価対策】

✅ 法人所有に切り替えて承継する場合

  • 株式として資産を保有 → 承継時には“株式の移転”で資産を動かせる※とはいえ、株式の評価対策は考慮が必要

  • 法人の中にキャッシュフローを貯めておけば、納税準備資金にも使える

  • 生前に株式の贈与をするなど、柔軟な相続対策が可能

 


5. よくある“出口のミスマッチ”とその落とし穴

次のような「出口が見えていない」ままの運用には注意が必要です。

  • 減価償却が終わり税負担が増えても、売るタイミングを逃して保有し続ける

  • 融資期間が終盤に入り、返済が重くなるが、出口設計がなく再構築できない

  • 相続した物件が共有名義・高評価・高課税で、分けられず売れない

  • 法人に持っていたが、後継者が不在で株式の引き継ぎに困る

→ こうしたミスマッチを防ぐには、早い段階から“ゴール設計”を持っておくことが重要です。


6. まとめ:終わりが見えると、運用が変わる

「どこまで持つか」「誰に渡すか」「いつ手放すか」──
こうした“終わり”が見えると、不思議といまの意思決定が明確になります。

不動産は、買って終わりではなく、持ち続ける・引き継ぐ・整理するための中長期的な視点での設計力が問われる資産です。
そしてこの「持ち方設計」こそが、将来の相続・事業承継対策に直結していきます。

次回からは、「相続対策と不動産」というテーマに踏み込み、資産評価・節税・承継設計の実務を掘り下げていきます。

 

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