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なぜ不動産は“同じ1億円”でも相続税が安くなるのか?──1物4価のカラクリ

1. はじめに:不動産ならではの視点「1物4価」とは?!

たとえば、現金で1億円持っていたとします。
一方で、同じ1億円で都内の築古アパートを購入したとします。

どちらも「1億円の資産」なのに、相続税の世界では、課税される金額に大きな差が出る──。

これは何かの裏技ではなく、「1物4価」と呼ばれる不動産特有の価格の仕組みによる、制度上のルールなのです。
今回は少しお勉強チックではありますが、このカラクリを押さえておくことで、
今後の相続対策の理解がグッと深まります。


2. 不動産には「4つの顔」がある──1物4価という考え方

現金や株式は、基本的に「その時の価格=時価=評価額」として扱われます。
しかし不動産は、評価目的によって価格が大きく変わるのが特徴です。

名称 用途 実勢価格100に対する目安
実勢価格 市場で実際に売れる価格 100
公示価格 国が定める取引価格の目安 約90
固定資産税評価額 固定資産税課税のための評価額 約70
相続税評価額 相続税計算時の評価額(路線価など) 約50〜80(都内では50%以下もあり)

つまり──
同じ不動産でも、見る角度によって“違う値段”が付けられているということです。

このギャップこそが、不動産が相続対策で重宝される正体です。


3. 【事例で実感】同じ1億円でもこんなに違う、現金と不動産

では実際に、1億円を現金で保有していた場合と、1億円の実勢価格の不動産を保有していた場合で、
相続税評価額がどう変わるかをシンプルに比較してみましょう。

✅ 現金で1億円持っていた場合

相続税評価額:そのまま1億円

✅ 1億円で都内の収益不動産を購入した場合

  • 実勢価格:1億円

  • 相続税評価額(路線価+貸家評価減など適用):5,000万円前後になることも

✅ この違いが意味するもの

相続税の課税ベースが半分になる=納める相続税額が数百万〜数千万円変わる可能性がある

これはまさに、“見えない控除”が仕組みとして織り込まれている状態とも言えます。


4. 「金融資産は見える化された評価。不動産は見える化しにくい資産」

現金にしても、上場株式・投資信託にしても、金融資産は常に時価が明確に”見える化”されていますよね。

株式市場の中での時価の変動は日々ありますが、相続税上は基本的に“その時の価格”=時価で評価されます。

一方、不動産はどうでしょうか。

ひとつひとつの不動産は個別性が強く、現金や上場株式のように、明確に”その時の価格”が見える化されているわけではないですよね。

そのため、相続税法上は、ある程度簡易的な方法で、それぞれの不動産の評価額を算出できるように「路線価」というものさしでの評価を採用しています。

    

 路線価から算出される評価額 < 実勢の取引価格

 

この差分が、不動産における相続対策での圧縮効果を生むロジックです。

 


5. ただし、評価圧縮=無敵ではない。使い方が肝心

このように不動産の評価が低く出る仕組みは魅力的ですが、
「じゃあ、とりあえずたくさん買っておけば節税になる」という話ではありません。

❌ ありがちな失敗

  • 圧縮効果だけを見て収益性や換金性の低い物件を買い、相続後に売れず納税に困る

  • 分割できない大型物件を相続人で共有し、トラブルになる

  • 実勢価格に比べて評価が高く出てしまい、想定より課税が重くなる

✅ ポイントは「評価が下がるだけでなく、活かせる設計をすること」

  • 売却可能性(流動性)はあるか?

  • 小規模宅地等の特例など、制度的な恩恵を受けられるか?

  • 法人で保有すべきか?個人で持つべきか?

制度を味方につけるには、仕組みを知った上で戦略を組む必要があります。


6. まとめ:「評価が下がる」ことは目的ではなく手段。資産設計の“起点”として活かす

不動産の評価が下がるという現象は、「税金が軽くなる魔法」のように見えるかもしれません。
でも、それは制度のルールに沿った“結果”であって、“目的”ではありません。

相続対策として不動産を活かすなら──
評価がどうなるかだけでなく、「どう持つか」「どう渡すか」まで設計することが重要です。

今後は、実際にこの“評価圧縮”の仕組みをより強化できる「貸家建付地」や「小規模宅地等の特例」などについて、より具体的に踏み込んでいきます。

 

 

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